壊さずに活かす!
鍜治ヶ一色の家
- [竣工日] 2018年1月
- [坪数] 49.4坪
- [工事種別] リノベーション • 耐震改修
- [家族構成] 夫婦+子供2人
- [構造・規模] 木造 平屋建て
- [所在地] 愛知県北名古屋市
『鍜治ヶ一色の家』 ・・・・・壊さずに活かす!
北名古屋市に建つ、築42年、約47坪の平屋のリノベーションです。
はじめは建て替えを希望されていた住まい手ですが、「やはり活かせるものなら残したいと思うのです!」と話されました。
「そうなんですかぁ、それでは!」っと、早速調査を・・・。
床下の基礎と土台の状態や、小屋裏の架構の状態を調べてみると、目立った痛みも無く、丁寧に造った当時の大工の仕事振りが伺い知れて、確かに壊してしまうのはもったいない気が致します。
ただ、建築当時とは随分生活様式も変化し、また家族構成も変わりましたので、思い切って間取りの変更や模様替えをしたいところです。また、昭和49年に建てられたこの建物は古い基準にならって建てられていますので、現在の基準に合うように耐震補強をする必要があります。
それらを考えると “おそらく新築に比べても、建築費が安くなることは期待できませんが、先代の方々の思いを受け継ぐことの意義深さには変えられない” と、住まい手は決断されました。
重い土葺きの瓦屋根を桟葺きに。そして、もろい土壁を落して塗り替え、丈夫な耐力壁に造り変えます。また間取りを変えつつ、新たな間仕切り壁を構造耐力壁とすることで、安心で安全な、そして暮らし易くて楽しい家に生まれ変わらせます。
既存の間取りは畳の間が多く、それらは襖で仕切られています。また、細かく区画された個室を中央の廊下で繋ぐというものでした。それを今回、薪ストーブのあるリビングダイニングを中心におき、家全体が繋がり感のある間取りに変えて行きます(詳しくは間取り図参照)。さらに、深い屋根裏空間を活かして、隠れ家のような小屋裏部屋もつくることにしました。
「古い家を活かしたいけど、間取りが制約されてしまって、思い通りの家にならないのでは・・・?」
そんな心配から、いっそ壊して造り変える道を選ばれる方は多いのではないでしょうか。しかし、木造軸組構法の建物であれば、補強しながら柱の位置を変えて空間を大きくしたり、新たに窓を開けたりすることは容易です。ですので今までとは全く違う住まいにリノベーションすることは、けして難しいことではありません。むしろ、例えば天井裏に隠れていた太い丸太梁を見えるようにしたり、古い建具の雰囲気を取り入れるといったことで “唯一無二の家” に造り変えることができます。
『スクラップ&ビルド』から『ストック』の時代へ。
是非、その参考になる事例となればと思います。

改修前 居間


リビング
家の中心は薪ストーブのあるリビング。既存の天井を取り除き、天井裏に隠れていた太い丸太梁を表わした吹抜け空間に改修しました。古い建具の雰囲気も活かした古くて新しい空間に生まれ変わりました。

ダイニング
吹抜けリビングと隣り合うダイニングは、天井を低くして落ち着きのある居場所に。ダイニングテーブルセットはこの家に合わせたオリジナルです。


キッチン
テーマは「カフェのようなキッチン」。収納たっぷりで使い勝手の良い「丹羽アトリエ × Wood Works GEPPETTO」の木のオーダーキッチンと左官やタイルで、住まい手のイメージ通りのキッチンをつくりました。

玄関
来客が多いのでプライベートな内玄関を設け、格子でゆるやかに仕切りました。

階段
小屋裏部屋にあがる力桁階段。インテリアとしても映えるデザインにしました。

小屋裏部屋
時間を忘れてのんびり過ごせる隠れ家のような小屋裏部屋。屋根裏空間も最大限に活用しました。

主寝室
「ベッドで寝たい」と「畳の上で寝たい」の両方を叶えた小上り就寝スペース。小上り下のスペースは布団の収納場所に。

洗面化粧室
広々と使える洗面台。自然光の入る部屋の隅に、三面鏡のある化粧スペースをつくりました。天井から吊り下げた竹竿は洗濯物の一時干し用。

物干スペース
洗面室から直接出入りできる物干スペース

浴室
十和田石と桧板の浴室。

サービスヤード
ダイニング北のサービスヤードは土付きの野菜を置いたり、ゴミの仮置き場にしたり。

外観(昼)

アプローチ
夕方、道路から長屋門をくぐると、あかりの灯った家が出迎えます。帰宅してこの景色を見るとホッとするのだとか。
プラン

スケッチ

現況間取り図

リノベーション後間取り図
