波動が呼応する空間
蓼科の庵
- [竣工日] 2021年1月
- [坪数] 11.5坪
- [工事種別] 新築
- [構造・規模] 木造 平屋建て
- [所在地] 長野県茅野市
八ヶ岳の麓、標高約1300メートルを超える高原に建つ、木組み土壁の庵です。
お施主様は、今から20年ほど前にご自宅を設計させて頂いた『津の家』の住まい手。長く医療に携わって来られて、このたびの引退を機に、これまで続けて来られた「念仏修行」一途の逗留の場を森の中につくりたいと、お声掛け下さいました。
建物は11.5坪の平屋建て。畳敷きの茶の間を中心にキッチンと水回り、三畳の仏間を配置した、とてもこぢんまりとした建物です。多少の来客にも対応できるようにロフトも設けました。
この八ヶ岳高原は夏の湿度が低く気温も低めでとても過ごしやすいところ。しかし、冬はやはり寒さが厳しく、零下10℃近くに下がることも珍しくありません。そんな環境ですが、ここでも暖房設備には床下エアコンを採用することにしました。寒冷地での実績は有りませんが、これまでの経験から、この環境下でも土壁の蓄熱性を活かす手段として上手くいくものと考えました。
さて、その効果の程はと言うと・・・上々です!
家中が自然な暖かさで満たされていてとても心地の良い空間にしてくれています。
無垢の木と土に包まれた空間の中に居ると不思議なほど心が落ち着きます。
それは自然素材が放つ香りや、肌触り、色合いや木目のゆらぎ。そして、優しく返ってくる音の響きなど。そのすべてが私たちの波動にピッタリ呼応しているから。考えてみれば当たり前のこと。
私たち人間も自然のものなのですから・・・。
心静かに念仏を唱えるための精神空間には特に最適です。
寒冷地での設計は今回が初めてでしたが、ここでも自然素材の良さを活かした家づくりが有効であることを確信することができました。