今回の訪問先
「押沢台の家」
最初にご紹介するのは「小さな家」の暮らし。ここ押沢台の家の住まい手は親子5人家族。土地のサイズや予算の都合から、できるだけコンパクトにまとめて、質を保ちつつ工事費を押さえたい。ということで延べ面積21.2坪にプランをまとめました。が、しかし、家が小さくて生活が窮屈で不便になったのでは、何のために家を建てるのだかわかりません。ですのでいろいろ工夫が必要なのですが、ここでは「収納」に的を絞って覗いてみましょう。
FEATURE
私たちはご家族が思い描く暮らしのイメージを元にプランを考えていきますが、
実際の暮らしはどのように展開しているのでしょうか。
そこで丹羽自らお宅を訪問。
その後の暮らしぶりを観察しながら、テーマごとにプランを解説してみます。
最初にご紹介するのは「小さな家」の暮らし。ここ押沢台の家の住まい手は親子5人家族。土地のサイズや予算の都合から、できるだけコンパクトにまとめて、質を保ちつつ工事費を押さえたい。ということで延べ面積21.2坪にプランをまとめました。が、しかし、家が小さくて生活が窮屈で不便になったのでは、何のために家を建てるのだかわかりません。ですのでいろいろ工夫が必要なのですが、ここでは「収納」に的を絞って覗いてみましょう。
ここの家は玄関を入るとリビングへ通じる扉の他にもうひとつ扉があります。開けるとそこは食品室です。“食べること”って生活の中ではとてもウエイトが高いです。ですから、食品や調味料、調理器具など、収納しておきたいモノが結構たくさん有りますよね。「押沢台の家」のお施主さんは、お買い物から帰ったら玄関から直接食品室へ向かいます。導線もとても短く余分なスペースも作らないプランです。ここはプラン通りに活用してくれてますね。
野菜や乾物などの食品の他、大きな鍋やホットプレートなどストックする物は多種多様です。覗いてみると結構たくさんの食材や調理器具などが整理されていました。この部屋があるおかげで隣のキッチンはスッキリ。やはり食品室をつくって正解!・・・でしたね。
さて、お施主さんは帰宅してお買い物品を収納したら部屋着にお着替えをするそうです。ですからプランも食品室の奥の扉を開けてキッチンを通り抜けるとすぐクローゼットとなっています。これは家族みんなでシェアする衣類の収納場所です。私たちはそれを『ファミリークローゼット』と呼んでいます。
一階の生活導線の要に設けることで朝の着替えや帰宅時の上着やカバンの収納などがスムーズになります。さらにリビングなどに衣類が散乱することがなくなります。衣類は家族全員分を一ヶ所に集約した方が効率的です。それぞれの部屋に分けるよりもコンパクトにまとめることが出来ますし衣類の片付けも一ヶ所で完結します。これで家事の負担も減らすことが出来ますね。
さらにこの『ファミリークローゼット』はウォークスルーなんです。この奥にあるトイレや洗面脱衣室への導線も兼ねているのです。帰宅してここで上着を脱いだら、そのまま奥の洗面で手を洗ったり、ここで着替えをピックアップして、その奥のお風呂に行ったりできます。
『ファミリークローゼット』の奥のスペースにちょっとした家事コーナーを設計したのですが、さてさて、どうな感じで使ってらっしゃるのかな? 奥様は一番下の子も幼稚園に通うようになり、ほんの少しだけ自分の時間が持てるようになったそうです。そこで、“そうだ、ミシンをここにおいて裁縫しよう!” となったのだそう。ちょっとした隙間スペースを活かした家事コーナーで、ちょっとした隙間時間を楽しんでくれています。
出来上がったかわいらしい小物たちは、あることがきっかけで近くのお店に出品することになったのだとか。家が暮らしに楽しみを生んでるようでなんだかうれしく感じますね。家をコンパクトにする為の工夫が同時に暮らしを便利にしています。そして楽しくすることにも繋がるって一挙両得ですね。なかなか素敵でしょっ!
最後にご紹介するのは屋根裏の三角空間を納戸として活かした小屋裏収納。天井が斜めで奥に行くにつれて低くなるのですが、雑多な物の収納にはこれでも十分に機能します。例えばお雛様や五月人形。夏しか使わない扇風機やコタツなども。また、なかなか思い切って処分できない子ども達が描いてくれた似顔絵や工作作品。これらはあまり溜め込んでしまっても困りものなのですが、でも、やはり捨てられない物も結構ありますよね!
・・・つづく